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千羽鶴ってこんなもので、こんな風に楽しんでます


 「秘伝千羽鶴折形」という本が江戸時代に刊行されたそうです。十八世紀末か十九世紀初頭ごろのことです。そのころは徳川幕府第十一代将軍家斉の時代で、元号でいえば寛政、享和、文化、文政といった時期です。まさに町人文化花盛り、頽廃と遊楽の時代だったようです。そんな時期だったからでしょう。一枚の紙に切れ目を入れて複数の正方形が繋がった状態にし、その正方形一つずつを折鶴に折るなんて暇なことを考え出した人がいたようです。そんな連鶴の折り方を紹介したのが「秘伝千羽鶴折形」なのです。その人が本当の千羽鶴考案者かどうかは知りませんが魯稿庵義道という人が桑名で千羽鶴を折っていたそうで、それを見つけた秋里籬島竹原春泉斎という人が「秘伝千羽鶴折形」を編集したのだそうです。この知識は「秘伝千羽鶴折形」の復刻版の解説で仕入れたものですので、興味のある方は日本折鶴協会により復刻された本をお読みになってください。ちょっと高価な書物ではありますが、ペーパークラフトに興味がある方にはお勧めの一冊です(因みに、私はその協会には所属していません。)
 さて、この千羽鶴の楽しみ方は様々だと思います。私は自分のオリジナル作品の製作と色んな作品を小さく作ることに拘っています。勿論、江戸時代から受け継がれた古典的なものも手掛けます。しかし、そればっかりだと矢張り飽きてくるのです。“出来上がりの形は同じでも、紙の切り分け方が違う”といった程度のオリジナリティーでも制作意欲はグンと高まります。人によっては、同じものを繰り返し折っても、より美しく作ることや気の利いたディスプレー方法に凝ってちっとも飽きないようです。まぁ、何が楽しいかはやってみなければわかりませんから、貴方も是非挑戦してみてください。“挑戦”などという言葉を使ったのは、ものによっては作るのにとても骨が折れるからです。最後の最後で、繋がっているべき部分がプッツンなんてこともありますし、「指があと二〜三本余分にあったらなぁ」なんて呟くことだってありますからね。兎に角、愛好家の増えることを期待しています